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まどかの戯言集

美容・恋愛についてアラサー男子が実際に使ったり/試したものを書き綴る

『虐殺器官』は『サイコパス』が好きな人なら必見だ。

雑記 映画

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そこまで

タイトルこそ『虐殺器官』というだけあってグロさが際立つ映画なのかと思いきや、僕個人としてはそんなにグロいとは思わなかった映画。

 

グロさなら、園子温監督の『冷たい熱帯魚』の方が圧倒的でリアル。

 

今回見た『虐殺器官』はアニメなので、血等の描写もそこまでリアルではなく、グロさを”マスキング”されたような感覚で映画を見ることができるでしょう。

 

今回は、そんな映画を見て感じたことをつらつらと書き綴る感想文です。少しばかりネタバレも含みますのでご注意を。

 

『虐殺器官』

とは、そもそも、伊藤計劃のデビュー作品で、日本の長編SF小説。2006年、「ゼロ年代SFベスト」国内篇第1位。2010年にハヤカワ文庫から文庫版が刊行されました。実はすでに亡くなっている作家さん。若いからこそ、ガンの進行がはやかったのか。

 

そんな彼のこの作品は、オタク大好きフジテレビ「ノイタミナムービー」第2弾「Project Itoh」の一環として作成され、放映されている映画館は限られているものの、作画もストーリーも作り込まれていて映像の迫力も満点、とっても楽しめます。

 

世界観の設定が、ここ先5~20年には実現していそうな技術が散りばめられていて、見ていてワクワクする。同じノイタミナ枠で放映されていた『サイコパス』が好きな人だったらきっと好きになるであろう世界観です。

 

例えば、劇中に登場する「オルタナ」と呼ばれるコンタクトレンズ型のウェアブルコンピューターは昨今のウェアブルデバイスの最終進化型を想起させますし、なんとなく、『電脳コイル』とか『攻殻機動隊』を想起させるデバイスがたくさん。

 

そう、そういった、ちょっとした先の未来(しかも実現しそう)の世界観で、それにテロや戦争という要素が加わり始まる物語。劇中で「amazonで買い物をする平和な世界を守りたい」みたいな会話も登場するので、一層僕達の生活と共通する部分が出てきて話にのめり込みます。

 

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監視社会

この手のSF作品は監視社会のディストピアを描くことが多く、この作品も例に漏れずといったところ。舞台はアメリカ。

 

ストーリーは、ニューヨークのツインタワーが崩壊した9.11以降、世界は一変したというところから始まります。

 

先進諸国は科学技術を発展させ、テロ対策のため徹底的な管理社会を実現。指紋や網膜による認証なしでは移動もピザの注文もできない社会をつくりあげた社会を描いています。まるでapple製品のTouch IDで全てが統一された世界みたいですね。先日みた『スノーデン』とも共通する部分もたくさん。

 

一方で発展途上国では頻繁に内紛が発生して消耗している。しかも「ジョン・ポール」という男が訪れた国々が全て内紛状態になるという事件が。

 

その事件を追うアメリカ政府の特殊任務機関で働く主人公たち。

 

一方で

ジョン・ポールはこう考えていました。

 

その強化され徹底されたセキュリティのおかげでテロは激減し、今やアメリカ国内でのテロ事件の数はゼロになったとしているが、と言うか、多くの人がそう信じ込んでいるが、しかし、実際には違っている。

 

抑圧された人間が突発的な犯罪を起こした場合、現状のセキュリティシステムは何の役にも立たない。多くの人が気づきながらも無視している真実…多額の費用をかけて整備された管理社会には、テロ等を抑制する力なんてない。平和なんて嘘っぱちだと。

 

9.11に見るように、国内の統制を徹底的に行っても「脅威の非対称性」は変わらず、テロを抑圧することはできず国外からのテロは必ずやってくる。「アメリカは平和で豊かなのに、我々の国はそのせいで貧しくなっている」等、大義なんてなんでもよくて、はけ口としてテロは自然発生してしまう。

 

『では、愛するアメリカ国民をテロの脅威から守るにはどうすればいいのだろうか?』

 

国外の人がアメリカに目を向ける暇を与えなければ良い。つまり、アメリカ以外の国はアメリカをうらやむ暇なく国内で紛争していればいい

 

ものすごい理論が飛躍しているように思えますが、勝手に国外の人が国外で内紛を繰り返していれば勝手に消耗して勝手に自滅するので米国に及ぶ脅威が激減するという理論をジョン・ポールが掲げました。あながち、間違っていない。

 

人は、見たいものしか見ていない

 

という重要なキーワードが劇中でも繰り返されますが、その通りで、他国で他国で内紛を起こしていようと、アメリカに住む自分たちには関係ないのだから、それは「存在していないものと同じ」「ある種ドラマを見ているようなもの」で事実を知ろうともしない=>なんて平和な世界なんだろう!(アメリカ人視点)

 

そんな理論展開を進めながら物語は終盤にさしかかっていきます。こういう独裁者というか、独善を振りまく人は、個人的に大好きなので食い入るようにみてしまいました。笑 物語の結末は映画か小説を読んで下さい。

 

テクノロジーとテロリズム

僕は理系、且つ情報系だったからか、はたまたただの中二病オタクだからか、近未来を描くSF作品は食い入るように見てしまいます。大好物です。この作品も想像以上に僕の好みの作品でした。最近みた映画の中でダントツです。

 

「この分野の技術がもう少し発展すれば実現可能だな」とか「すでにこれはこの技術で実現可能だよね」とか理系の友人と話しながら観ると一層盛り上がることでしょう。

 

また、現実世界でも起きそうな(すでに起こっているのかも)サイバーテロ等のテロリズムに関する想像を膨らませるのも楽しいです。

 

昨今話題になっている『スノーデン』の映画でも取り上げられているNSAのPRISMプログラム、全ての国民のデータを傍受する仕組みがすでに存在していたりするので、一層現実味が湧いてくる『監視社会』のディストピア。

 

情報化と監視社会、そしてテロリズムのディストピア

 

これからの世界のあり方を皮肉っている、大変おもしろい。

 

『虐殺器官』というタイトルこそグロそうですが、グロさよりも、描かれている世界観・設定にとても心惹かれる作品でした。ぜひ映画館で観てください。『サイコパス』もあわせてぜひどうぞ。

 

虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

 

 

 

 

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