『恋の罪』という映画を僕は多分50回以上見たと思う。

 

園子温監督の作品『恋の罪』。

しばしば猟奇的でグロテスクな表現が用いられることで有名な監督さんの作品の一つ。もちろんこの映画も少しグロテスクな表現が見られます。

 

 

 

東電OL殺人事件という実話の事件を元に作られたこの映画。1997年に起きた事件です。あくまで事件のエッセンスを抜き取って園子温色に染めたという感じでしょうか。

 

東電で幹部を務めるエリートOLが、夜は渋谷のラブホテル街である円山町で1回数千円単位で売春を行い、果ては売春場所として使っていたボロアパートで殺されてるという事件。

 

エリートの裏の顔が娼婦というわかりやすいゴシップ的なネタのせいで当時かなりセンセーショナルに報じられた事件です。

 

この映画では、渋谷・円山町の取り壊し寸前の廃墟アパートで、上半身と下半身に分断され、それぞれセーラー服を着たマネキンと赤いスリップドレスを着たマネキンに接合された女性の死体が発見されるところから始まります。

 

死体の頭は持ち去られていたため、死体の身元が分からない。

 

事件を担当する女刑事和子は、捜査を進めるうち、人気小説家菊池由紀夫の妻・いずみと、東都大学文学部助教授の美津子にたどり着き・・・Etc..

 

事件をモチーフにしていることが分かりやすい映画ですね。気になる方はぜひTSUTAYAで借りるなり、Huluやamazon prime video等で見てください。

 

僕この映画のとある2つシーンが好きなんです。1つは「首を締める」シーン。もう一つは殺人事件が起きた現場で雨漏りの雨を額に受けながら浮気相手の男性と電話をしながら女刑事役の水野美紀が自慰行為をするシーン。フェティッシュな世界観に惹かれました。

 

50回以上みた理由?

 

何かと誰かが家にきた時にいつもこの映画を見るからです。

 

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この映画でとても重要な意味を持ってくる詩があります。田村隆一さんの『言葉のない世界』というもので、最後に紹介しておきます。

 

言葉なんかおぼえるんじゃなかった
言葉のない世界
意味が意味にならない世界に生きてたら
どんなによかったか

あなたが美しい言葉に復讐されても
そいつは ぼくとは無関係だ
きみが静かな意味に血を流したところで
そいつも無関係だ

あなたのやさしい眼のなかにある涙
きみの沈黙の舌からおちてくる痛苦
ぼくたちの世界にもし言葉がなかったら
ぼくはただそれを眺めて立ち去るだろう

あなたの涙に 果実の核ほどの意味があるか
きみの一滴の血に この世界の夕暮れの
ふるえるような夕焼けのひびきがあるか

言葉なんかおぼえるんじゃなかった
日本語とほんのすこしの外国語をおぼえたおかげで
ぼくはあなたの涙のなかに立ちどまる
ぼくはきみの血のなかにたったひとりで掃ってくる

 

 

言葉なんかおぼえるんじゃなかった: 詩人からの伝言 (ちくま文庫)

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詩人のノート (講談社文芸文庫)

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音響効果やグロテスクなシーンで頭を左右に振られる感覚に陥るかもしれませんが、それが園子温監督の映画の凄いところ。あっという間に映画の世界に入ってしまう。宮台真司的に言えば「変性意識状態」なのでしょうか。

 

とは言え、グロテスクなシーンは飛ばしても良いので、ぜひぜひ見ていない人には一度見てもらい、感想を聞きたいです。