続・同棲と共依存 〜或いは戦略的<新>家族論〜

 

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このエントリーは前回の記事のアフターストーリーにあたる。ちょうど今週の月曜日に彼とランチに行って、諸々の状況を確認し事実を整理した。その上で彼の今後のプランについて話を聞いて、少し痴がましいがいつくかのアドバイスをしたきたので、記憶があやふやにならないうちに書いて整理をしておく。

 

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まずは前回の記事を簡単に振り返ろう。

 

  1. 僕の友人Aは、彼女ではないB子さんと同棲しはじめた。
  2. B子さんとは、大学の先輩後輩関係で2,3年の付き合い
  3. 肉体関係もあるが、デートもしているし、一見恋人同士に見える

 

という相談を持ちかけた友人Aに対して、同棲経験が有り少し苦い思いをした僕は、

 

 

  1. お互いのプラベートスペース(時間)は確保できるようにしよう
  2. お互い自立し、共依存関係に陥らないようにしよう

 

という2つのアドバイスをする予定と記載した。上記の2つのアドバイスは、僕の弱さの露呈でもあるので、少し情けないのだけれど、プライベートスペースが確保出来ないと息苦しくなるし、共依存状態になると、いざその人と離れる時に、想像以上の精神的ダメージを受ける。詳しくは前回の記事を参照してほしい。

 

 

 

12:10 某レストラン

 

先に、彼の話を簡単にまとめると以下のようになる。

 

  1. 彼女は現在フリーター
  2. 同棲生活は5ヶ月限定
  3. 最初は心労があったけれど、彼女への執着がなくなって楽になった
  4. お互いフリーに遊び合ってOKな関係性=戦略的セカンド論

 

まどか:同棲生活はどう?順調?

 

A:最初は彼女の細かいことが気になって喧嘩したり慣れないことが多かったけれど、今はとてもなれたよ。

 

まどか:今、彼女は何をしているの?

 

A:卒業してからフリーターをしているよ。

 

まどか:在学時には地下アイドル、卒業後はフリーター、ロックね。せっかく日本の最高学府の学歴なのに。笑 ハイスペフリーターだな。

 

A:まあ、そういう子だよ、彼女は。

 

まどか:彼女は家にいることが多いの?Aが仕事から帰ってきたら、「お帰り♡」みたいなの、あったりするの?

 

A:まさか!笑 彼女とは生活のリズムが全く合わないし、彼女はいつも朝4時とか5時ぐらいにかえってくるし。飲み歩いてる。バイトも深夜のバイトが多いのかな?

 

まどか:結構スレ違いの生活を送っているんだね。大変じゃない?

 

A:最初はね。もう慣れたよ。彼女は彼女で色々自由にやっているから、僕もわりと自由にやらせてもらっているよ。ほら、この間話した後輩のCちゃん。また飲みにさそわれたから今度サシで飲んでくる。

 

まどか:Aは隠れて色々やるからなあー。隅に置けないよ。

 

A:同棲をはじめて、一時期は彼女ばかりに意識が集中していたので、帰りが遅かったり、遊び呆けていると心配したり無駄な心労があったけれど、その執着から開放されたら、とても精神的に楽になって余裕がでてきたよ。

 

まどか:いわゆる、分散方式というやつか。A、恋愛攻略本でも読んだの?笑

 

A:ちょっとね。呼んだと言えば、この前彼女とよるイチャコラしている時に、その時のノリでデリ○ルを呼ぼうという話になって、呼んだんだよ!だけれど、家まできて状況を説明したら「無理・・」って、お金もとらず1分もかからない間に帰っちゃた。笑

 

まどか:笑 ちょっと色々挑戦しすぎ。笑 楽しそうではあるけれども。

 

A:まあ、今は色々楽しんでいるよ。この同棲の契約も5ヶ月だしね。

 

まどか:5ヶ月なんだね〜 Etc..

 

なかなかロックな彼女だと僕はつくづく思う。日本の最高学府の学歴をもった元地下アイドルのフリーター。最高じゃないか。とは言え、彼も最初は同棲生活に辛さを感じていたらしい。同棲をするのだから、そりゃ一緒に住んでいるので、彼女の帰りが遅かったりすると心配になるだろう、少し執着してしまうのも無理はない。心労が積もるのも想像できる。しかしながら、彼もやり手で、分散方式をとって彼女への執着心を分散することで心労を減らしていた。とても合理的な判断だと思う。執着が続けば、心労はより積もる一方だし、容易に彼が完全に依存状態になってしまう姿が想像できる。彼女も彼女で飲み歩き、遊んでいることを彼には伝えているので、彼も彼で彼女以外とそうなってもお互いに容認し合う関係とのこと。

 

本当に戦略的セカンド論に基づいた同棲じゃないか・・・!

いや、これは新しい家族の形なのではないだろうか!!!

 

<新>家族論

一見ただのセ○レ関係に見みえるしそう思う人も多いだろうけれど、二人の関係は、二人を知っている僕からすればまったく彼らの関係性はそうではない。恋人でもなければ、ただのセ○レの関係でもない。友達以上であるし、先輩後輩でもある。仲も良くデートも御飯も一緒に楽しむ。

 

「付き合う」とか「結婚」だとか、そういう形式に拘り、字面の「安心」を手に入れることで自分を安心させるような形式的な関係よりも、僕は、とても人間的で、ある種合理的な彼らの関係性が好きだ。一種のソフレという関係性を、より高位に昇華した関係性かもしれない新しい<家族>の形と言っても、僕は納得できる。

 

様式美を好む日本人、確かに「結婚」にもなれば、その明確な関係性は様々な社会的な保証にもなるので、安心に繋がると言っても間違ってはいない。とは言え、昨今、共働き家庭が一般化する中、待機児童問題等が浮き彫りになっているように、結婚し子どもを作り生活を営む上で、彼ら彼女らをバックアップする制度が整っていないのも事実だ。本当に字面の安心に成りかねない。結婚した人々の子育てや生活等を支える制度を整えることが早急に求められているが、こういう関係性でも子どもを作り、育てていける環境が日本に整っていれば、日本の出生率は比較的に上昇すると思う。「結婚システム」を破壊すること他ならないし、ラディカルに聞こえるかもしれないが、とても合理的ではないだろうか。新しい家族という形。新しいと言えば新しいのだが、近代以前の家族のあり方に近いものに戻ると言っても良いかもしれない。

 

近代家族とは、産業化以後に出現した家族のことを言う。産業化が進むと、経営体としての「家」は衰退し、男性は外で働き女性は家事をするという役割分業が進展していったことは、高校の日本史や、大学の日本史関連の授業を受けた人には基礎教養として持っている知識だろう。

 

そうなると、家の機能は、労働力を養うことと子供を育てることに限定されていく。落合恵美子によれば、近代家族は、

 

  1. 家内領域と公共領域の分離
  2. 家族成員相互の強い情緒的関係
  3. 子ども中心主義
  4. 男は公共領域・女は家内領域という性別分業
  5. 家族の集団性の強化
  6. 社交の衰退
  7. 非親族の排除
  8. 核家族

 

といった理念的特徴によって把握でき、これらの特徴を持つ近代家族は、近代国家の形成と同時に完成したと言われている。

 

近代家族は近代社会に特有の家族のあり方であるがため、近代化の過程で、様々な要素が絡み合って近代家族が産み落とされたが、同時に近代家族が社会システムの一部である以上、近代社会の揺らぎとともに近代家族も否応なく変化していくことになる。

 

社会によって変化する近代家族なのだから、今日の家族のあり方が変化していくことも当たり前と言えば当たり前かもしれない。時代に適応したシステム。そうなると「結婚システム」は既に時代に適応していないのかもしれないとさえ思える。

 

積極的に、ラディカルでエッジーな社会集団(家族)を作り独自の共同生活領域を作り、ボトムアップで新しい家族の形を模索する。そんな彼を、僕は応援したい。まだ、彼は子どもを作っていないけれど。

 

 

“現代家族”の誕生―幻想系家族論の死

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近代家族の成立と終焉

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