『制服少女たちの選択』を読んで、かつてコスプレが「エッチ系バイト」と呼ばれていたことを知った。

 1990年代に世間に露呈した「援助交際」問題。そのきっかけを作ったと言われているのがこの本の著者である宮台真司さんです。実際に女子中高生にインタビューを重ねる形でフィールドワークを行い、その実態調査を行ったことが有名ですね。今では首都大学東京で教授をされている有名な社会学者の方です。ちなみに、1996年に「援助交際」はその年の流行語にもなりました。

 

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本書の構成

 

第一部 制服少女がパンツを売る理由

・第1章 パンツを売ってどこが悪いの
・第2章 団塊の親たちの無残な失敗
・第3章 鏡としての「パンツ売り」
・第4章 少女は郊外で浮遊する
・第5章 「女子高生」というブランド

第二部 コミュニケーションの進化史

・第6章 新人類とオタクとは何だったのか
・第7章 無神論者達の宗教ブーム
・第8章 社会は「島宇宙化」する

 

 

情報社会学的な文脈の示唆が多く含まれている本著、「島宇宙化」という宮台真司さんが示したキー概念を参照する時、しばしば論文等で引用されているところを見かけますが、今回はそこに言及せず、前半の第一部の内容だけについて言及します。

 

「援助交際」「ブルセラ」「売り」等、今の女子中高生にとってはとても古い言葉で、言葉自体には現実味を帯びないかもしれません。しかし、表現や方法が時代と共に変遷しているだけであって、今日でもこれらに類似したものは蔓延しているし、実際にそれらに加担している人も多いのが現状です。実は、90年代のそれの延長線上として、今日「コスプレ」「撮影会」があるのではないか、という点について考えていくのが本稿になります。

 

White, Long, Legs.flic.kr

 

エッチ系バイト」としての撮影会

 

今日、プロ・アマチュア問わず普通の女子中高生が「学校の友達には内緒だけれど実はコスプレイヤーで、Twitter上で数千人、数万人にフォローされている」ということなんてザラにあります。(注1:しばしば、コスプレイヤー業界ではTwitterのフォロワー数、アーカイブのランカーである事が指標になっていたりします)

 

Twitterを見ていると

 

hoge月fuga日 bar部構成でtmpスタジオで撮影会をやります!

piyoがんばるので、みんな来てくれると嬉しいな♡

 

等つぶやいて、撮影会の宣伝をしているコスプレイヤーの皆様を多く見かけます。Twitterで「撮影会」等検索すればたくさん出てきます。

 

実はこういう撮影会、80〜90年代では一般的に「エッチ系バイト」として世間では認知されていたことを知っていますか。

 

当時「使用済みの下着・ブルマー・セーラー服・上履きを売る」等のブルセラ系、「ダイヤルQ2伝言、テレクラ」といった「ヤラセ」系アルバイトに並び、「マニア向けの撮影会」として、今日では当たり前にようにコスプレイヤー界隈で行われている「コスプレ撮影会」が「エッチ系バイト」として認知されていました。

 

宮台:撮影会のギャラってどれぐらい? 

A:それはものによってちがうんですけど。ブルマーだと高いとか(笑)。ブルマーの撮影会だと2万。

B :ボディコンでも2万。ゲームで勝ったら、あたし2万3千円入った。ビキニもやんただけど、それが2万5千円。

~~~~

B:ものすごく当たり前な感じがするよね。全然罪の意識がないから!

A:で、親も知ってるんですよ、モデル事務所に入っていることを。言えない内容とかは言いませんけど。

 

筆者も社会科見学のつもりで撮影会に参加したことがあります。その撮影会は4部構成、部ごとにモデルが衣装を変えて複数のシチュエーション・衣装でモデルを撮影できるものでした。もちろん、部ごとに料金は別になっているため、複数の衣装やシチュエーションで撮影を行いたい場合はお金がより必要になります。

 

宮台:撮影会のはどういう人がくるの? 

A:もう全部、変なおっちゃん。

B:サイン書いてくださいッて言われたりとか、あたしの写真の裏に詩を書いている人とかもいて(笑)

〜〜〜

A:純粋に写真の練習をしたいって人は、一割もいません。 

 

 

筆者は20代半ばであり、歳を重ねていることを自覚しているつもりではありますが、やはり撮影会に参加しているカメコ(注2:コスプレイヤーを撮影するカメラマンのことを通称カメコと呼ぶ)は僕よりも圧倒的におっさん感がありました。笑(注3:僕の言うおっさん感とは、1.見た目の清潔感 2.ファッションセンス 3.実年齢 で判断している)少なくとも、例え年齢が僕より低い人がいたとしても、その場では一番僕はおっさん感がなかったと思います。

 

おそらく、その撮影会の様子は、90年代とまったく変わっていない気がするんです。むしろ、90年代当時の中高生だった男性が、20年程の月日を経て30代になり、当時の中高生時代に、「まわりの女子がエッチ系アルバイトをしている」という現実に苦しんでいたこと(クラスで一番モテるあの子は、クラスで一番”パパ”がいる確率が高いという現実と言えば、男性諸君はその苦悩と苦しみが理解できるんじゃないでしょうか)が、90年代から続く性的な意味合いを帯びた「エッチ系バイト」としての「コスプレ撮影会」を、商業化されより広く一般化させ、「コスプレ」として、ある種の”昇華”させた要因の一つなのかもしれないし、そういった撮影会に参加するモチベーションになっているのかもしれないと。

 

 正直、カメラ構えている清潔感の無いおっさんは、マジで鼻の下伸びてるし、変態にしか見えない!!!!!!!!wwwww

 

より性的な意味合いを帯びた撮影会はいまでも頻繁に行われていますよね。一般的な大衆向けのコスプレイベントの他に、実はAVプロダクションがスポンサーであるコスプレイベントとか、ROM即売会イベントとか、たくさんあります(一度、自分が参加したことがあるコスプレイベントのスポンサー等をしっかり調べてみると、面白いですよ。あとは、ちょっとした有名なコスプレイヤーが所属しているプロダクションがどういうプロダクションなのかとかね。)。AV女優の撮影会は、それこそ、そちらの本流ですね。

 

90年代の「エッチ系バイト」の系譜をそのまま辿っていますね。この文脈で言うと、現在の一般的なコスプレイベントは、それの派生と考える事ができます。

 

一般的には、1980年代から国内ではコスプレが世間に認知され、1990年代になると、店員がコスプレ衣装を着用してサービスを提供するコスプレ系飲食店や風俗店が登場し広がりを見せ始めたという流れがあります。以降その人口は拡大し、様々なコスプレイベント等も開催されるようになり、従来、コスプレは個人が衣装を製作し、同人誌即売会などで着て、個人で楽しむものでしたが、近年は企業や団体が参入し、様々なビジネス展開が見受けられるようになっています。矢野経済研究所が行った調査『「オタク市場」に関する調査結果2014』では詳しく、そのビジネスの規模や展望が記載されているため、興味のある読者はぜひチェックしてみてください(大学生の方でしたら大学の図書館にあるかもしれません、個人で買うには高すぎる調査報告書です)。

 

いやはや、今日の日本社会、学校教育ではどうしても「清純であれ」とか押し付けてくるんです。

 

とは言え、女性は男性に比べて体の発達が早いのはどうしようもありません。「清純無垢であれ」という近代的教育制度を内包する日本社会、それと矛盾するように「性的に成熟した身体」を手に入れる女性。その矛盾に宙吊りになり、自由な身体を「コスプレ」で自由気ままに変化させる現代の若いコスプレイヤーの皆様。

 

これは、ある種、「コスプレ」が性的な意味合いを持ってしまうのは、どうしても必然的な流れだったのかもしれないと。

 

ある種、否、必然的に「コスプレ」ではジェンダー的な側面、つまり性的な側面が本人が意図せずとも、売りになってしまい、それを消費させ、消費する構造になってしまう。

 

だからこそ、今一度、より一層、そういった側面を持ってしまう「コスプレ」活動に、特に女性は、意識を向けて、活動して欲しいと、筆者は思うばかりです。いや、きっとそんな事、みなさん自身が一番わかっていると思うのですが。

 

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